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株式会社JR東日本ステーションリテイリング

「ミッションは「駅を変える」。顧客視点を忘れずに変化を生み出していく。」株式会社JR東日本ステーションリテイリング 代表取締役社長 | 江越 弘一 氏

新卒でJR東日本に入社。小売業・広告代理店などの生活サービス事業分野のキャリアを歩む。2003年12月に「ecute」のプロジェクトに配属される。「ecute大宮」の立ち上げに携わり、オープン時には店長として赴任。その後、営業部長や「ecute立川」の店長などを経て2008年10月31日にJR東日本ステーションリテイリングの代表取締役社長に就任。現在に至る。

Q.はじめに、JR東日本ステーションリテイリングの立ち上げの経緯について教えてください。
JR東日本ステーションリテイリングが立ち上がったのは2003年9月です。そもそもの発端は2000年11月に策定されたJR東日本グループの中期経営構想にある「ステーションルネッサンス」という考えです。

ステーションルネッサンスとはゼロベースで駅そのものを変えていこうという構想です。今までの反省を踏まえ、既存の仕組みを変えるというのは並大抵なことではありません。ですから、前例に捉われず、旧弊のしがらみが少ない若手の発想が求められ、JR東日本グループでプロジェクト参加希望者が公募されました。こうして集まったメンバーも加わり、この会社は設立されました。ですから駅のあり方を変える、ステーションルネッサンスを行うという使命が会社のバックボーンとしてあるのです。
Q.新しい発想をゼロから生み出すのは大変だったと思いますが、立ち上げの時期に一番苦労したことは何ですか?
今もそうですが、もともと駅は鉄道を中心とした空間です。その駅という空間に「小売業」を融合させるという部分ではとても苦労しました。

例えば、出店してもらうお取引先様に駅という場所を理解してもらうことが必要でしたが、小売という視点で見た場合、駅のイメージはあまり良くありませんでした。「従来の駅を変える為にこういった事業をやっていきたい」と説いても、駅と小売が結びつかないんです。「駅の空間そのものを変えていくんです」と訴えても、そもそも前例もなければ、まだ形もないからイメージしてもらうこと事態が難しい。そういった状況下で私達の想いや新しい駅のあり方についてのイメージを伝えるのには非常に苦労しました。少しでも伝わるように、「ecute」の模型を作るなどして様々な工夫を重ねました。

それでも、最初にオープンした大宮とその次にオープンした品川とでは開業時期が7ヶ月しかずれていなかったということもあり、試行錯誤の連続でした。そういう意味で、立川の段階になってはじめて、お取引先様に私達のビジョンをスムーズに伝えることが出来るようになったと思います。
Q.「ecute」は大宮・品川・立川と店舗によってそれぞれ雰囲気やコンセプトが違いますが、なぜですか?
各々の駅によって、お客さま、駅自身、地域、全て特性が違います。例えば大宮には新幹線が停まりますが、立川には停まりません。例えば品川と立川では住んでいる人の数が違います。横並びの発想で作っても、ご利用いただくお客さまのニーズには決して沿えないんです。

例えば「ecute」の外観などにもその駅の特色を取り入れています。立川であれば木の質感で多摩の自然を表現し、品川なら東海道の宿場だったという伝統を表して、2階の吹き抜け周りが日本古来の家屋に見られるえび茶色に塗られています。このようにして環境やデザイン的なものも含めて、地域のバックボーンを表現することにも努めています。
Q.事業を展開するにあたってのこだわりを教えてください。
社のグランドビジョンでもある「For the Customer」ということです。例えばお取引先様を決める際には「流行の商品だから」「雑誌の人気ランキングで上位だから」ということは理由になりません。営業担当者がそのお取引先様の商品や雰囲気などを五感で感じて、惚れ込み、自分の言葉で想いを語ることができて初めて検討します。弊社では店舗開発と運営は一気通貫です。店舗開発した人間がそのまま運営に携わります。駅という未知の領域に踏み込んでいただいたお取引先様は、いうなれば「ecute」にとって宝物です。売上が悪いからといってそう簡単に取引先を変えたりはしません。もちろん商品はどんどん回転させていきますが、いずれにせよ生半可な想いでは務まりません。だからこそ、担当者の想いをとても重要視します。
Q.これまでの5年間を振り返って、駅はどう変わりましたか?
そうですね、大宮店の開業直後の頃、ご年配の女性に「ここは大宮駅ですか?」と尋ねられた事がありました。私がそうですと答えると「違う駅に降りたと思った」と仰られたのですが、そのときに「あぁ駅のイメージを少しは変えられたのかな」と実感できて嬉しかったことがありました。そのやり取りに象徴されるように、お客さまが持つ駅のイメージを少しは変えることが出来たのかなと思いますね。それに、「ecute」ができたことによって以前より“駅”という場所が注目されるようになったと思います。

また、変化という面では、駅は毎日通るお客さまが非常に多いので色んな意味で変化が速いんです。色々な仕掛けに対する反応も早いし、リアルタイムでお客さまの動向が分かります。でもそれは翻せば飽きられやすいということでもあります。ですから変化を生み出して、変化に対応するということが駅という空間には必要ですね。常に走り続けていないといけません。
Q.飽きられない為の変化で具体的にはどんな試みをされているのですか?
例えば「ecute」の中に確保されたイベントスペースを利用して、2〜3週間単位で様々な企画・催しを行って、変化を生み出しています。例を挙げると中央線・立川駅が2009年4月11日に開業120周年を迎えた記念イベントとしてトレインフェスタというものを「ecute立川」で開催し、鉄道をモチーフにした限定の商品をお取引先様の企業と企画して販売しました。商品まで入り込んで、共に事業を行っていることも、弊社の特徴のひとつに挙げられます。
Q.今後、どのような事業展開を考えていますか?
弊社のミッションは「駅を変える」ことですが、このミッションはまだまだ途上です。今手掛けているのは駅の空間も含めてトータルで開発していく「エキナカビジネス」ですが、それは現在の姿なのかもしれません。駅を変えるためのアプローチは他にも様々な方法があるはずです。2008年には「空間の開発」であった「ecute」と異なる「点の開発」というアプローチから「エキタマ」が誕生し2009年3月にはコンコースだけでなく、ホームに視野を広げて、「ecute cutte(キュット)」という業態がうまれました。「ecute」が弊社の中核ブランドであることは事実ですが、それに捉われず色々な展開をしていきたいですね。
Q.最後に、経営者という立場から心がけていることを教えてください。
1つはやはり「For the Customer」の理念を忘れないこと。もう1つは社員で想いや志を共有することですね。これはとても重要なファクターなので、日頃のミーティングや合宿、研修などを通してメッセージを伝え、意識共有を行っています。日々の中では、店が点在しているので、本社ではなく店に行って打ち合わせを行ったり、メールを送ったりして社員と接点を作ることを心掛けています。駅を変えるという想いを社員だけでなくお客さまとも共有して、これからも頑張っていきたいですね。
取材を終えて
江越氏の言葉の端々から、江越氏自身、そしてJR東日本ステーションリテイリング全体の、駅やお客さまに対する強い想いが感じられた。その想いが「ecute」や「エキタマ」などの既存の概念を覆す事業を生み出して「駅を変えて」きたのだろう。また“JR”というイメージとは異なり、JR東日本ステーションリテイリングの雰囲気はフランクで若々しい。柔軟な感性と強い想いを大切にする同社からは、今後も今までにない「駅を変える」事業が生まれてくることだろう。